ゴミを出さないゼロ・ウェイストショップで量り売り初体験 Vol.1

新型コロナウイルスの感染防止のため自宅で食事をとる機会が増えたら、毎日出るプラスチックごみの量に驚いたという人は多いのではないでしょうか。

家族4人で生活をしていたら、40リットルのごみ袋があっという間にいっぱいになるというこの現実。普段、環境問題にあまり関心がない方でも、きっと感じるところがあったはずです。

そんな中、最近少しずつ耳にする機会が増えてきたのが「量り売り」のお店。容器を持参して必要な分だけを購入するから、個包装がゴミになることもないし、フードロスの削減にもつながります。私の自宅の近くにも、ここ数年でクラフトビールやナッツ、野菜の量り売りのお店ができました。

そして京都にはこの夏、すべての商品が量り売りで、ごみもフードロスも出さない日本初のゼロ・ウェイストスーパーマーケット「斗々屋」が誕生しました。すぐに京都までは行けないけれど、東京都国分寺市にはその実証実験の場になったモデルショップ「nue by Totoya」があると知り、足を運んでみました。

環境にも優しいオーガニック食品を
個包装で仕入れるうちに抱いた問題意識

国分寺駅から歩くこと約5分。「nue by Totoya」は、エコロジカルな暮らしを提案するオーガニックカフェ「カフェスロー」の中にありました。2021年1月に、代々木から移転オープンしたばかりです。

カフェスローの中を通って「nue by Totoya」の中に足を踏み入れると、パスタや豆類、ナッツ類、穀類などが入った容器とディスペンサーが壁にずらりと並んでいます。棚に置かれたガラス瓶にはドライフルーツや寒天、小麦粉、米粉などが、そして奥には逆さまに設置されたごま油やしょう油などの一升瓶もあります。

同店に並んでいる商品は、オーガニックなど地球環境、そして生産者の健康を害さない方法で生産された商品、適正な価格で取引されたフェアトレードの商品。そして、ごみを極力出さないように最大限配慮して仕入れたこだわりの商品ばかり。

「直輸入しているドライフルーツ、ナッツ、パスタ、お豆などは主にキロ単位で袋に入った状態で仕入れています。お店で完全密閉できる容器に移す際には、湿気ないようにシリカゲルも一緒に入れています」(nue by Totoya 店長)

実は、 「斗々屋」「nue by Totoya」を運営する株式会社斗々屋の親会社は、オーガニックの食材などをフランスやイタリアなどから輸入している卸事業者。小売に挑戦したのは2019年にnue by Totoyaがモデルショップとしてオープンした時が初めて。現地の生産者が大自然で環境に優しい方法で育てているのに、最終的にごみになる個包装をして仕入れることに疑問を抱いたといいます。そして、小売を変えていこうと動き出しましたが、卸だけでは広がりに限りがあるため、消費者に直接届けたいという思いが、小売店での量り売りに注目したきっかけでした。 

そばの乾麺は、山形県米沢市の製造者から、再利用できるコットンバックに入って届きます。ごみを出さないというお店のコンセプトに共感した製造者が、コットンバックでも品質を保って運べるかを自身の目で確認した上で、特別に個包装せずに送ってくれるようになったそうです。

そばを個包装せずに送るのは無理、という固定概念に囚われることなく「できるかもしれない」と取り組んだ製造者の姿勢には敬意を抱きます。

容器の重さを測って、必要なだけ入れる
コットン袋もお役立ち

もともと社長が料理人であり、当初は料理人向けに食材を輸入していたこともあり、お店に並んでいる商品はどれも一流料理人が認めるこだわりの味。普段利用しているスーパーでは見かけないパスタにワクワクしながら選び、一番人気というブジアーテと、ひよこ豆粉でできたグルテンフリーのコンキリエ、2種類を購入することにしました。

次回は、実際に量って購入するプロセスについて、詳細にお伝えします。あれこれ迷うのもたのしいお買い物の様子や、遠方から買い物に来ているという利用者さんのコメント、「nue by Totoya」を運営する株式会社斗々屋さんの目指す未来についてもお伝えしますので、お楽しみに!

平地 紘子
ライター。大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

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それによって、世の中はより良い方向へ変わると信じています。

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2021.10.27トピック シェア

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