サステナビリティ(持続可能性)を実現するためのアメリカの食の取り組み

サステナビリティ(持続可能性)を実現するためのアメリカの食の取り組み

コラム『食べ残し? 売れ残り?「フードロス」とはなにか、改めて考えてみる』 で、フードロス(食品ロス/まだ食べられるのに廃棄される食品)問題を取り上げ、私たちが日常でできる8つの食品廃棄削減法を紹介しました。

フードロス問題は、単に「もったいない」だけではありません。過剰な生産による資源の無駄づかいや、廃棄されごみとして焼却される際の二酸化炭素の排出など、環境負荷の問題にもつながっています。
私たちは日常生活でできることに取り組みつつ、過剰生産や生産課程における環境負荷にも気を配る必要があります。 しかし、具体的に何をすればどのくらい環境負荷が減るのか、分かりにくいものです。

そこで今回は、環境負荷を減らしサステナビリティ(持続可能性)を実現するための、アメリカの取り組み事例を紹介したいと思います。

『牛肉レシピの掲載を停止「世界最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えない」 アメリカの人気料理サイト』 huffingtonpostより

huffingtonpostの記事によると、 「アメリカの人気レシピサイト「Epicurious」は、気候危機への懸念から牛肉を使った新しいレシピを公開しないとするステートメントを発表しました」。 「牛肉料理よりも持続可能な食事を促すため、牛肉を使った新規レシピの掲載や記事、ソーシャルメディアの投稿はなくなるそうです」とのこと。

牛は一体、気候にどんな影響を与えているのでしょうか。

牛は消化の過程で、温室効果の強いメタンガスを大量に排出します。
(牛1頭がげっぷやおならとして放出するメタンガスの量は、1日160〜320リットルにも上るそうです。WIREDの記事より
家畜関係の排出量のうち、約65%は牛(牛乳も含む)から排出されているというデータもあります。 そのため、気候危機対策の観点から、牛肉を食すことを避ける動きが海外で広がりつつあるのです。

Epicuriousが今後新しい牛肉レシピを公開しない目的として、
「私たちの決定は、サステナビリティ(持続可能性)に関するものであり、世界で最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えないということです。これは、反牛肉ではなく、むしろ親地球だと考えています」
アメリカの牛肉消費量が増加傾向にあり、サステナブルな料理についてもっと会話を広げる必要がある
と説明しています。

『肉を食べる回数を減らして地球を守るHabits of Wasteの「#8meals」アプリ』techcrunchより

「NPOのHabits of Wasteがリリースしている#8mealsアプリ(iPhone版、Android版)を使い、週に8回の食事で肉を食べるのを止めると誰もが森林伐採や温室効果ガス排出量の削減に参加できる。」

Habits of Wasteの設立者であるSheila Morovati(シーラ・モロバティ)氏は、廃棄物と消費を減らす活動を続けており、#8mealsアプリはその最新の取り組みです。「週に8回の食事で肉を食べるのを止める」という具体的なアクションの提案をしています。

同氏の環境保護活動である「クレヨンコレクション」プログラムでは、南カリフォルニア地域でレストランに回収箱を設置し、2000万本以上の使用済みクレヨンを集めました。クレヨンはごみにならずに、学校へ再配分されたそうです。

また、Uber Eats、Postmates、Grubhub、DoorDashを説得し、標準で添付していたプラスチックのカトラリーを顧客からの要望があったときだけ添付するように変えたキャンペーンを実施。毎年400億本近く廃棄されているプラスチック製カトラリーを削減する手段となるようです。

モロバティ氏は「社会の考え方を変えることが私のゴールです」と語っているそうです。

サステナビリティ(持続可能性)を実現するためのアメリカの食の取り組み

いずれもアメリカにおける牛肉の消費を減らそうとする取り組みですが、地球環境を保護すべく消費抑制を促すため、具体的なアクションを提案する仕組みづくりの事例を紹介しました。

日本では、肉の消費を減らす取り組みは馴染みが薄いですが、 コラム『食べ残し? 売れ残り?「フードロス」とはなにか、改めて考えてみる』 でも紹介したように、日本での「フードロス」は年間612万トン(※)と算出されています。
(612万トンとは、飢餓に苦しむ人々への世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当する量です。) (※)農林水産省及び環境省「平成29年度推計」

牛肉に限らず、様々な食の消費にまつわる環境負荷を減らす努力が必要となるでしょう。

yaunnプロデューサー Tomomi Jinno

皆さんは牛肉の食事を減らすアメリカの取り組みについて、どう感じましたか?

Hさん

地球を維持するためには、牛肉を食べる量を制限することも必要だと感じました。
牛により破壊された環境を取り戻すためにいくらかかるのか、を考えると、牛肉の値段はもっと高いはずで、そうそう食べれるものでは無いはず。それを考えると本来は消費が減るはず。
環境への二次影響、三次影響を踏まえた上での商品の価格設定(ものの価値)が導入されることが、持続可能な社会の実現に一歩進むのでないかと思いました。

Tさん

牛が、げっぷやおならで多量のメタンガスを出しているとは知りませんでした。
バーチャルウォーターでの算出で、牛肉1kgを生産するのに大量の水が必要だという話も最近よく聞きます。気になりますね。

環境省サイトより 1kg のトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800 リットルの水が必要です。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するには、その約20,000 倍もの水が必要です。

yaunnについて

「使う」「食べる」など、日常生活を通して考える力を養い、自ら思考し、判断する人を増やしたい。

yaunnは、身近な生活を通してものごとに興味をもち、自分の視点を養うこと。 それが、さまざまな問題を解決する一歩目になると考えています。

すべての人が自ら思考し、判断する力をもつ。
それによって、世の中はより良い方向へ変わると信じています。

yaunnについて、詳しくはこちらをご覧ください。
https://yaunn.jp/about/

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2021.05.08トピック シェア

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