yaunn Pottery story

真っ白なお皿の世界を、誰でも自由に表現できるキャンパスに変える -HAKU 古林紀昌 story- #1

毎日使うものだから、どんな人がどんな思いを込めて作ったのかを知ることができれば、もっと大切に使おうと思える――。そう信じて、yaunnでは、ものづくりのストーリーを丁寧にお伝えしています。

今回、絵本や工作、アートディレクションなど幅広くアーティスト活動をする、亀山達矢さんと中川敦子さんによるクリエイティブ・ユニット「tupera tupera」(ツペラ ツペラ)のユニークなアイディアを実現したのは、真っ白な食器を開発・販売する「HAKU」の古林紀昌さん。

2年におよぶ開発期間を経て誕生したのは、おばけの形をした白いお皿たち。「tupera tupera」の遊び心あふれるアイデアを、実際にお皿で表現した古林さんに、ブランドへの想いやつくりたい世界について語っていただきました。

器用だからこその悩みから生まれた個性

古林さんが経営するカネ一古林商店では、業務用を中心としたお皿を製造・販売しています。会社があるのは、美濃焼で知られる岐阜県。陶器の一大産地です。

カネ一 古林さん

「岐阜県南部の東濃(とうのう)地方で生産されている美濃焼は、とても器用な陶器でいろいろなものが作れます。信楽焼のような土っぽい感触や、つるつるした感触の有田焼のような質感など、いろんなものを美濃焼で作ることができます。そのため、業務用生産が多く、生産量は全国一になります。ただ、突出した個性がないためにブランド力は大きいとは言えないかもしれません」

古林さんは以前から、美濃焼が海外へも多く輸出するほど生産量が多い一方で、大量生産だからこそ画一的になりがちなデザインや個性に課題感を持っていたそうです。その課題感が、真っ白で自由な凹凸デザインができる器のブランド「HAKU」を誕生させるきっかけとなったのでした。

カネ一 古林さん

「人の生き方が多様化しているように、人が心地よいと思えるデザインや仕様も幅が広がっていると感じています。例えば、爬虫類をペットとして可愛がっている人もいれば、苦手な人もいますよね。

多くの人に安くて良い品を使ってもらえるのが大量生産の良いところですが、ごく一部の人にすごく好きだと思ってもらえる商品を作ってみたいと思うようになりました。そこで、10年くらい前に『HAKU』を構想しました」

お客さんが叶えたいデザインを再現性高く表現するために

「ごく一部の人がすごく好きだと思える商品」。大量生産とは正反対の方向性へ進むために必要なのは、少量生産だからこその価値を感じてもらうことでした。だからこそ、高級感にもこだわりたい。そういった想いを形にするために生み出したのが、立体感で表現する“凹凸デザイン”だったそうです。

カネ一 古林さん

「難しかったのは、お客さまのイメージするデザインを凹凸で再現性高く表現する、という壁を越えることでした。高い技術力が求められるため、素材選びや技法の工夫に時間をかけました」

お客さんのデザインを叶えるための仕組みづくりも徹底して追求したと古林さんは話します。

カネ一 古林さん

「実は、最初に作ったのはお皿ではなく表札だったんですよ。お客さまが自分で書いた文字をそのまま再現できるようにしました。これをきっかけに、当時、土木事務所から公共事業の仕事を依頼されたこともありました。
現在は表現の幅がより広がって、シンプルだけれど繊細なデザインのお皿が多数揃っています」

「HAKU」の特徴の一つに、ナチュラル・ポーセレンという素材を使用していることがあります。「HAKU」オリジナルの高品質な素材なのだそうです。

カネ一 古林さん

「お皿の多くは、生地になる『粘土』の部分と、生地をコーティングする『釉薬(ゆうやく)』と呼ばれる部分の二層構造になっています。釉薬はガラス質の溶液で、色を華やかに見せる役割のほか、汚れにくくなる効果があります。
ナチュラル・ポーセレンは、釉薬がなくても汚れにくくすることを目的に開発しました。釉薬をかけると、せっかく凹凸で表現した部分に膜が張ったような状態になり、デザインがぼやけてしまうんです。なんとか釉薬を使わない一層構造で、デザインの再現性を高くし、高級感も出せないかと試行錯誤して、ナチュラル・ポーセレンという新しい素材をを完成させました。
ナチュラル・ポーセレンは一般的な磁器よりさらに透明感のある白色を発色するため、初めて見た方から、『ガラスかと思った』と言われることも多いです。生地のきめも細かく、手触りはしっとりした気品を感じられると思います」

少人数でもいい。誰かの“好き”な世界が広がってほしい

透明感のある白地に、凹凸でデザインできる。そんな「HAKU」のお皿は、プロのクリエイターから趣味を楽しむ人まで、オリジナルデザインの依頼も多く受けています。

カネ一 古林さん

「今、個人でオリジナルキャラクターを作る方やグッズを販売する方が、とても増えています。そういった方々の思い描くデザインを『HAKU』のお皿で表現すると、自分が作ったキャラクターが実際に商品となって目の前に現れて、日常的に手に取れることをすごく喜んでくださるんです。
また、かなり細かい部分まで表現できることにも驚かれますね。一般的なプリントではなく、凹凸でデザインするところに、他では表現できない個性や面白さを感じてもらえているようです。

『HAKU』は少量生産できることを前提にしていますが、工業品のような品質を目指していることもあり、高級感も楽しんでいただけているようです。たとえ最初は小さなスタートだとしても、自分の“好き”な世界を表現する人たちの輪が少しずつ広がっていくといいなと思っています。そうなると、とても豊かで自由な世界が広がっていきそうです」

HAKU

カネ一古林商店(カネイチコバヤシショウテン)が展開するオリジナル磁器ブランド。カネ一古林商店は美濃焼の産地・岐阜県土岐市にて、およそ100年に及ぶ業務用食器の販売実績があり、国内だけでなく海外への販売も積極的に行っている。モノや情報があふれている現代において、自分だけの個性が詰まったモノを求める人のために、オリジナル磁器ブランド「HAKU」を開発。真っ白な生地に凹凸の線画で自由な世界観を醸成できるのが「HAKU」の魅力。さまざまなクリエイターとのコラボ企画を展開している。
https://www.haku-shop.com/

カネ一古林商店
代表取締役社長 古林紀昌(コバヤシ・ノリマサ)

商品紹介 はらぺこおばけプレートセット

絵本や工作、アートディレクションなど幅広くアーティスト活動をする、亀山達矢さんと中川敦子さんによるクリエイティブ・ユニット「tupera tupera」(ツペラ ツペラ)のユニークなアイディアから生まれた、真っ白いおばけの形をした3枚セットのお皿。
製造は、美濃焼の産地・岐阜県土岐市にてオリジナル磁器ブランド「HAKU」を展開するカネ一古林商店が担いました。

はらぺこおばけプレート 3枚セット
はらぺこおばけプレート 3枚セット

真っ白でなめらかな素材に、tupera tuperaの生み出した表情豊かなおばけが線画で描かれた「はらぺこおばけプレート」は、異なるサイズの3枚のおばけプレートで構成されています。1枚ずつ使っても、3枚セットで盛り付けてもOK。3枚合わせるとゆるやかな円状になり、大きな1枚のプレートのように使うこともできます。同じ形のプレートをたくさん集めると、おばけの兄弟?!として使うことも◎
真っ白で自由なおばけプレートは、きっと、あなたの毎日を楽しくするでしょう。

毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。

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