毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。
和食、洋食、エスニックなど、わたしたちは毎日さまざまな国の食を楽しんでいます。その中で改めて注目されているのが、日本の伝統的な窯元がつくる陶磁器です。いつもより少しだけ個性的な食器に挑戦してみたい!そんな願いに答えてくれる、日本の代表的な陶磁器ブランドや産地をご紹介します。
「日本の三大陶磁器」のひとつ、有田焼。佐賀県有田町を中心とした地域でつくられる陶磁器を指します。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本に連れてこられた陶工が有田で陶石を発見したことから、有田での陶器製造が始まりました。骨董として珍重される「伊万里焼」も、実は有田焼のこと。佐賀県内の伊万里港から積み出されていたことから、江戸時代には伊万里焼と呼ばれていました。
長い歴史の中でさまざまなデザインのものが登場してきましたが、中でも乳白色の素地に余白を残した構図で花や鳥を描いた「柿右衛門様式」が有名です。柿右衛門様式の作品はヨーロッパにも数多く輸出され、ドイツのマイセン窯やフランスのシャンティー窯にも、柿右衛門洋式の模倣とみられるデザインが残っています。
有田焼から枝分かれして生まれたのが波佐見(はさみ)焼です。江戸時代から「有田焼」のひとつとして長崎県波佐見町でつくられてきましたが、平成に入り、2000年頃に起きた産地明記厳格化の流れに応じ、「波佐見焼」として新たなブランドを確立しました。
波佐見焼の代表的なデザインは、透明感のある白地に、「呉須(ごす)」という藍色の顔料で模様が描かれたもの。どこか北欧デザインを思わせるシンプルさで、和食だけでなく洋食にもよく合う汎用性の高さが魅力です。
波佐見焼の中でも人気なのが「くらわんか碗」です。ぼってりと重みのある素朴なフォルムが特徴で、器に描かれる模様もシンプルな幾何学模様が中心。丈夫で壊れにくいため、ご飯茶碗やどんぶりなど、日常使いの器が多く作られています。
江戸時代末期に栃木県益子町で誕生した益子焼は、関東を代表する焼物です。
益子では長い間、主に鉢や水がめ、土瓶などの台所用品が作られてきました。日用品だった益子焼が器好きに注目されるようになったきっかけが、1920年代の民藝運動です。
民藝運動とは、手仕事によって生まれた日常の雑器を芸術品として捉え直そうとする運動のこと。陶芸家の濱田庄司氏が益子に移住し、哲学者 柳宗悦氏らと共に進めた民藝運動が地元の陶工たちに大きな影響を与え、益子焼は新しい芸術品として全国に知られるようになりました。現在では、350もの窯がある一大産地となっています。
益子焼の特徴は、砂気が多く粘性が少ない土の質感をいかした、肉厚なフォルム。酒器や湯呑み、コーヒー茶碗など、手に持って使う器が人気です。ぽってりとした素朴で温かみのある雰囲気は、家でのリラックスタイムにぴったりです。
美濃焼も「日本三大陶磁器」の1つ。
岐阜県の多治見市、土岐市、瑞浪市を中心に生産されている美濃焼には、なんと1300年の歴史があります。
美濃焼にはさまざまな技法があることから、決まったスタイルがありません。時代の変化や使う人の好みに合わせて釉薬を開発し、技術を磨きながら歴史を築いてきました。その結果、多くの人に求められ続け、国内の食器類のシェアは約60%、生産量は全国トップを誇ります。
自由なスタイルの美濃焼ですが、大きく分けると黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部の4つの基本様式があります。
美濃焼の4つの様式の中でもファンが多いのが織部焼です。
千利休と共に茶の湯を大成した茶人、古田織部が美濃の陶工を指導して生まれた様式です。
織部焼の特徴は、ゆがみのある斬新なフォルムと、「織部釉」と呼ばれる独特の釉薬から来る深みのある暗緑色です。武人でもあった織部らしい力強さを感じるデザインには、刺身の赤、卵の黄色など、色鮮やかな料理がよく映えます。
古くから続く窯が多い美濃焼。岐阜県土岐市にある窯元カネ一古林商店(カネイチコバヤシショウテン)も、約100年の歴史を持っています。業務用食器を中心に、国内だけでなく海外へも積極的に販売している老舗です。
丈夫で汎用性の高い器を大量生産する実直な仕事の一方で、「デザインや個性が足りないのが課題だと感じていました」と語るのは、 カネ一古林商店 代表取締役社長 古林紀昌さんです。
そんな古林さんが10年の構想を経て生み出したオリジナル磁器ブランド「HAKU」の製品は、ガラスを思わせるような透明感のある真っ白な生地に、凹凸で表現された模様が大きな特徴です。白いキャンバスに絵を描くように世界観を自由に表現できるスタイルには、「心地よいと思えるデザインや仕様は人それぞれ。“その人”にとって好きな商品を美濃焼で作ってみたかった」という古林さんの思いが詰まっています。
「HAKU」の器に触れると、軽くてしっとりした独特の質感が印象に残ります。その秘密が、ナチュラル・ポーセレンというオリジナルの高品質な生地です。
生地を滑らかにするため、また、汚れをつきにくくするため、器には釉薬をかけるのが一般的です。ところが、釉薬を使うと、HAKUの特徴である繊細な凹凸が埋まってしまいます。「繊細な凹凸はそのままに、釉薬を使っているような滑らかさや高級感を出したい」。そんな試行錯誤の末に誕生したのが、ナチュラル・ポーセレンです。
yaunnの「はらぺこおばけプレートセット」は、HAKUの古林さんに製作をお願いして誕生しました。
亀山達矢さんと中川敦子さんによるクリエイティブ・ユニット「tupera tupera」(ツペラ ツペラ)のユニークなアイデアを実現した、3枚ひと組のプレートセットです。
大中小の、ユーモラスな顔をした3人のおばけたち。おばけの個性的な顔つきは、凹凸で繊細に表現できる「HAKU」の技術があればこそ。ファンタジックなモチーフながら甘くなりすぎないのも、ナチュラル・ポーセレンの上品でまっさらな「白」のなせる技です。吸い付くようなやわらかな質感は、慌ただしい日常の中で少しだけ特別な上質感を感じさせてくれます。
サラダやパンを載せて3枚をつなげ、ワンプレート風の朝食に。3枚それぞれに小さなスイーツを載せて、ティータイムに。おばけたちと目が合うと思わずにっこりしてしまいそう。毎日の食卓に、小さな楽しさを連れてきてくれるプレートです。
yaunn「はらぺこおばけプレート」開発ストーリー全4話は、こちらのリンクからご覧いただけます。
第一話
真っ白なお皿の世界を、誰でも自由に表現できるキャンパスに変える -HAKU 古林紀昌 story- #1
第二話
「できる」を越えた究極の面白さを届けるために。職人が本気で挑む仕事 -HAKU 古林紀昌 story- #2
第三話
作品は、人とつながるコミュニケーションツール。 -tupera tupera 亀山達矢 中川敦子 story #3
PHOTO RYUMON KAGIOKA
第四話
「はらぺこおばけ」と一緒に、楽しい食卓をつくろう。 -tupera tupera 亀山達矢 中川敦子 story #4
絵本や工作、アートディレクションなど幅広くアーティスト活動をする、亀山達矢さんと中川敦子さんによるクリエイティブ・ユニット「tupera tupera」(ツペラ ツペラ)のユニークなアイディアから生まれた3枚セットのお皿。
真っ白でなめらかな素材に、tupera tuperaの生み出した表情豊かなおばけが線画で描かれた「はらぺこおばけプレート」は、異なるサイズの3枚のおばけプレートで構成されています。1枚ずつ使っても、3枚セットで盛り付けてもOK。3枚合わせるとゆるやかな円状になり、大きな1枚のプレートのように使うこともできます。同じ形のプレートをたくさん集めると、おばけの兄弟?!として使うことも◎
真っ白で自由なおばけプレートは、きっと、あなたの毎日を楽しくするでしょう。
[tupera tuperaコラボ商品] はらぺこおばけプレート 3枚セット ランチョンマットプレゼント
毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。