yaunn Shirts story

糸から染め、織り上げる。200年の歴史を誇る播州織 – shirts story – #2 Fabric

yauunのキーワード「relax(知ることによる心地よさ)」と、デザイナー岡村さんの「 think outside the box(固定概念にとらわれない)」デザイン。そのふたつが出会い、生まれた、yaunnシャツ。
yaunnのシャツを作る過程で、生地の生い立ちに触れる機会がありました。見た目やデザイン、着心地や価格で選ばれることが多い服。普段はあまり考えることのない生地について、知ってほしいことがあります。

日本の東西南北のほぼ中央に位置し、200年の歴史を誇る播州産地。 yaunnシャツの生地を担当する植山グループは、1948年、兵庫県西脇市の幡屋(織物屋)からスタート。生地販売の卸業、アパレル製品の企画・製造・販売業と、西脇市の産業の発展とともにその範囲を広げていきました。「想いを紡ぎ、生活を彩る」を理念に、古き良きものと近代的な技術を融合し続けています。

そんな植山グループの桑島ゆりえさんに、生地作りの世界について教えていただきました。

もともと洋服が好きだった桑島さん。
「生地があって洋服になる、生地を知ればいい服が作れるのではないか」という思いから生地の世界に飛び込みました。「生地を作るには、トレンドを知らなければならない、ファッションの先端でなければならない」。実際に生地作りの現場に入ったことで、生地とトレンドがこんなにも深く結びついていることに気が付いたそうです。

糸から染め、織り上げる、播州織

yaunnシャツは、植山グループのシャトルノーツの生地を使用しています。シャトルノーツは、植山グループが企画・生産する播州織のブランド名です。

播州織とは、兵庫県の播州地方の織物のこと。糸の状態で“先染め”して織るのが播州織の特徴と言われています。

ちなみに、生地の染色には大きく3つの方法があります。

① 綿の状態で染色する
② 糸の状態で染色する
③ 生地の状態で染色する

先染めとは、②の糸の状態で染める染色方法を指します。

服より先に、「選ばれる生地」を生み出す

では、生地作りのプロセスについて順を追ってお伝えしていきましょう。

生地を作るプロセスは、洋服などの最終製品を想定し、それを実現するために必要な生地を企画することから始まります。そのためには、トレンドを先取りした企画が必要になります。

「こういう服を作りたい」と思い、それに合う生地を選ぶのではなく、実は生地はその服を想定してすでに作られているのです。こんな風に言うと大げさかもしれませんが「選ばれるのを待っていた」と言えるかもしれません。だからこそ時代の先端を行くことが、生地の企画に求められるのです。

生地の企画が生まれた後、染色の職人さんが企画通りに糸を染め上げていきます。綿の状態によって、染まり具合は微妙に変化します。同じ産地の綿でも、その年々で気候などの生育環境が異なるため、綿の様子を見ながら細やかな調整をしています。

こうして染められた糸の状態によって、最適な織り方も変化します。一口に播州織と言っても、厳密には同じ生地は一つもありません。あなたが出会い、袖を通したシャツ。それは、まさに一期一会と言えるでしょう。

#S001 「光沢ある長めの繊維を厚手に織る」

yaunn ブルゾンタイプ シャツ 白/COTTON JACKET LIKE SHIRT WHITE

#S001の生地は、しなやかさと光沢感を兼ね備えたもの。
エジプトのGIZA(ギザ)産の綿から作った生地を使用しています。

GIZA綿は繊維長が長いため光沢感があり、バルキー(分厚い)な手触りが特徴です。80番手(糸の太さを表す単位で、数字が大きい方が細く、80番手というのは細めの糸です)の糸を2本ねじり合わせ1本にし、綾織で織っているため、少し厚みがある生地に仕上がっています。ちなみに綾織というのは、縦糸に対して横糸を一本飛ばして織ります。そのため、生地を見ると斜めに織られているように見えるのが特徴です。

産地 : GIZA(エジプト産)
摘み方 : 手摘み
糸の太さ : 80/2双糸
織り方 : 綾織(通常よりゆっくりと織っているため、バルキーな生地がしなやかに織り上がっています)

#S002 「ぎゅっと締まった繊維が生み出す上質」

yaunn アシンメトリー シャツ カーキ/COTTON ASYMMETRY SHIRT KHAKI

#S002の生地は、パリッとしたハリ感と光沢感が醸す上品な生地。

アメリカ産のピマコットンから作られた、タイプライターと呼ばれる生地を使用しています。

タイプライターは、打ち込み(1インチ平方内の縦横の糸の本数)が多いのが特徴ですが、70番手/1(糸の太さを表す単位で、数字が大きい方が細い)の糸を平織りで200本近く打ち込んでおり、パリッとしてしっかりと固い生地となっています。

打ち込み本数が多く繊維がぎゅっと締まったタイプライターは、一般的に『縫いにくい』と言われていますが、#S002はくるめコーポレーション(シャツの縫製工場)で丁寧に縫製してもらいました。このハリ感と光沢感は、一度着たら癖になりそうです。

産地 : アメリカ産 ピマコットン
摘み方 : 機械摘みでコンタミが少ない
糸の太さ : 70/1
織り方 : 平織り

#S003 「柔らかでナチュラルなドレープ」

yaunn ドレープ シャツ 黒/DRAPE SHIRT BLACK

#S003の生地は、モダール90%シルク10%の混紡糸。
モダールはブナ(木材)原料とした、レーヨンに似た生地。レーヨンの水に弱いという欠点を克服した進化系の素材です。柔らかで自宅での洗濯もしやすいのが特徴です。

糸を撚る段階で、モダールにシルクを混ぜ合わせ一本の糸にし、その糸を平織りで織っています。モダールとシルクは染め方が異なるのですが、この生地はモダールを染める染料で糸を染めることで、ナチュラルで独特な風合いが出ています。

柔らかくてナチュラルな風合いの生地から生まれるドレープの美しさ。

見た目に美しいだけでなく、思わず触れたくなる生地です。

糸の太さ : 50/1
織り方 : 平織り

毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。

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