毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。
yauunのキーワード「relax(知ることによる心地よさ)」と、デザイナー岡村さんの「 think outside the box(固定概念にとらわれない)」デザイン。そのふたつが出会い、生まれた、yaunnシャツ。性別に関わらず自由に着られるデザインのため、誰が着ても着心地がよく、自然と着る人の個性を引き出すことができる。そんなyaunnシャツが誕生したプロセスを紐解いていきます。
Designer「LOUD AIR」デザイナー 岡村成美
「服は誰もが毎日身に着けるもの。自己を表現する要素として、自分らしさを表現したり、他人に見られたい自分を表すものでもあります。『男性はスカートをはいてはダメ』。『コンプレックスは隠すもの』。そんな既成概念を持たず、服を着ることで自分を自由に表現してほしいんです。そして、誰かが着ているからではなく、自分に似合うから着る。そんな自己表現の手助けになる服を作りたいんです」。
岡村さんがデザイナーになった背景にはそんな思いがあります。
岡村さん自身が手がけるブランド「LOUD AIR」は、溢れ出てしまう個性や主張を空気で感じる体験、といった意味を持つブランド名です。2019年の春夏シーズンにデビュー。”人間はただの管なのか” をテーマに、纏うことで個性や主張が溢れ出てしまう服を提案。衣服の固定概念を忘れ、新しい前衛的なデザインを展開しています。
そんな岡村さんに、デザインのプロセスについて伺いました。
岡村さんのデザインは、日々の生活の中からインスピレーションを得るところから始まっています。中でも、生き物や建築物などからインスピレーションを得ることが多いです。
生き物の形にはそれぞれ意味があり、フォルムや質感や色には生きるために進化した形跡が備わっています。そこから、「こんな服があったら面白いかも」とか、「こんな色が良さそう」というインスピレーションを得ます。またあるときは、曲線美のすばらしい建築物からインスピレーションを得て、人間が持つ美しいラインを重ね合わせ、デザインを考えます。
そして、早い段階から完成形のイメージを膨らませることも、重要なポイントです。映画や雑誌、CDのジャケットなどから、背景やモデル、ポーズや色味、全体のバランスをイメージします。
今ある服の形を変化させるのではなく、まだ無いものを作りたい。そんな思いをもつ岡村さんのつくる服には、枠を打ち破るエネルギーが感じられます。そして、デザイン画を書くことから始まるのでなく、普段の生活の中で感度を高めるインプットが岡村さんのデザインに活かされているのです。
具体的なデザインのプロセスは、人が服を着ている姿の全体像をスケッチし、そこから少しずつディティールを組み立てを行います。
パターンを考える際には、身頃を自分に合わせ、衿を合わせ、袖を合わせ……と、何度も自分で着て動き、イメージに合わせる作業を行います。
一般的なシャツは、シャツという枠の中に納まっていて「サイズがぴったりでジャケットの中に着るモノ」という枠の内で考えられがちですが、こんなプロセスを経て生まれたyauunのシャツは「シャツはこうじゃなきゃいけない」という枠を取っ払っています。
yaunnのシャツは、#S001、#S002、#S003、どの形も、男性も女性も着られるユニセックスシャツです。一枚をカップルや友達同士でシェアして、自由に着たい様に着てほしいと思っています。
#S001はシャツであり、ブルゾンとしても着られるデザイン。
生地は、固めの綿の生地。ボタンはスナップボタン。上下を合わせて押してパチンと止めるタイプのボタンです。スナップボタンをシャツに使うことは珍しいのですが、機能はもちろん、見た目にもさり気なさの中に一味違う雰囲気があります。
オーバーサイズのジャケットとして。中にワンピースを合わせてもしっくりくる。アウターに、インナーに、季節やコーディネートに合わせていろんなアレンジを楽しめる。そんな一枚です。
#S002は、左右非対称(アシンメトリー)なデザイン。
「シャツをひねってみたら面白いかも?」という発想から生まれた、#S002。前身頃の重なる部分が曲線にうねり、肩のヨークも左右非対称。右の袖には切り返しが入っています。肩の切り返しが通常より下に位置しているため、男性でも女性でも着やすいデザインです。
デザインをひとひねりしたため、生地はあえて一般的なシャツに使われる綿の生地を使い、立体的な人間のフォルムに合わせて作られています。発想は大胆ですが、見た目はシンプルかつ、とても着やすい一枚。「あれ? よく見てみると、シャツのボタンが曲線になってる?!」と、 思わず注視する相手の姿を想像すると、楽しくなります。
#S003は、柔らかな生地にヒモでアクセントをつけたデザイン。
モダールとシルクの混紡の生地でできているため、とても柔らかで着心地のよい一枚です。ヒモを絞らない時は、すとんとしたロングシャツスタイル。ヒモを絞ると立体的なドレープができます。後ろ身頃はヒモを絞ってドレープをつくった時にちょうどよい長さになっているため、もたつかずすっきりとしています。
女性は普段着のブラウスとして。男性は結婚式の2次会などの華やかなシチュエーションに。もちろん、その他のシーンにも臨機応変に。一枚で、誰もが自由に表現できるシャツです。
毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。