毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。
2021年1月8日に、東京都とその近辺での緊急事態宣言が発令されました。今回で二度目の緊急事態宣言ですが、みなさんはどう過ごしていますか。
前回(2020年4月7日は7都道府県、4月16日に対象を全国に拡大)の発令時は、街の賑わいが無くなり、出歩く機会もめっきり減りました。これまでの生活が一変し、戸惑うこともたくさんありましたが、これを境に価値観が大きく変化した人も少なくないでしょう。
オンラインツールやSNSを通して人と繋がってはいるものの、外出して会うことが少なくなり、服装がラフになった人が多いのではないでしょうか。それは、これまで売れていた服が売れなくなるということでもあります(※1)。商品を売る機会を失ったメーカーは、当然、新しいものを作らなくなります。そうなると、縫製工場への仕事の発注もなくなり、生地も売れません。こんな風に、社会の現象や私たちの行動は、経済の循環に大きな影響を与えているのです。
「1枚のシャツができるまでに、100以上の工程がある」。
yaunnシャツの開発でお世話になった縫製工場で教わったことのひとつです。コロナ禍において、服が売れていない今、この言葉が思い出されます。
一つひとつの工程に技術があり、その技術はシャツを作ることで生まれ、磨かれていきます。シャツが売れなくなると、その技術が生かされる場面もなくなってしまいます。
この技術はいったいどうなるのでしょうか。消えてしまうものもあれば、日本以外の国に流れていく可能性もあるかもしれません。技術が流出しないよう、私たちはコロナ禍でも、もっとシャツを買うべきなのでしょうか。おそらく、それだけが答えではないことも分かっています。
コロナをきっかけに、今まで以上に、消費することについて慎重に考えるべき時代になりました。
私たちの日々の選択は、世の中に影響を与えます。
“自分はなぜそれを選んだのか、もしくは選ばなかったのか”。
今一度、価格や思いつきで消費していたものについて、ちょっとだけ立ち止まって考えてみせんか。
メーカーや製造業者も、今、本当に必要とされるものはなにか、改めて考える必要があるでしょう。考え続ける先にきっと、なにか答えがあるはずです。
(※1)
帝国データバンクの調査では、アパレル上場企業のうちHPなどで月次売上高をリリースしている24社の2020年12月分の全店実績を集計したところ、2020年12月の月次売上高が全店ベースで前年同月を下回ったのは79%の19社。新型コロナの感染第3波による外出自粛の影響が大きく年末商戦での売り上げに影響し、前年同月を下回った企業が大半を占めました。
帝国データバンクへリンク
実はコロナ以降も、わりと洋服を買っています。ですが、買うものは変化しました。
昨年、ジャケットを着た回数は、両手で数えられるくらいだったかもしれません。そのため、ビジネススタイルのアイテムはほとんど買わなくなり、代わりにデザインに特徴があり、着心地の良い素材のアイテムをたくさん買いました。
ですが、不思議なもので、たまには全身パリッとしたビジネスファッションも着たいな、という気持ちを最近は感じています。服装ひとつで、気持ちのあり方が変わることを改めて実感しているのかもしれません。
私は以前から服をたくさん持つ方ではありませんでしたが、コロナ禍で外出の機会が減り、ますます服を買う回数が減りました。(コロナ以降、一着も買ってないかも!)
以前から、繊維業界がどうあるべきか難しい局面だと思っていましたが、コロナ禍でより考えさせられます。
外出の機会が減った今、私たちの消費行動により以前とは違う経済循環が生まれていると思います。 皆さんはご自分の消費行動の経済への影響をどのように考えましたか?
“周りの目を気にしない、自己表現の手助けになる服”
デザイナーの岡村さんは、性別にとらわれたりコンプレックスを隠すのではなく、自分らしくあるために服を着てほしいと考えています。
毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。