ゴミを出さないゼロ・ウェイストショップで量り売り初体験 Vol.2

東京都国分寺市にあるゼロ・ウェイストショップ、「nue by Totoya」。自宅から毎日大量のゴミが出ることが気になっていた私は、「nue by Totoya」の存在を知り、早速足を運んでみました。

前回のレポート記事に続き、今回はいよいよ量り売り初体験!

コンキリエ200gだとどれくらいの大きさがあれば入るかな?と考えていると、商品100gごとの目安が記された瓶を持ってきてくれました。これがあれば、どれくらいの量を買えばいいかがひと目でわかるのでとても有難いです。

同店では、商品の購入はセルフサービス。まずは、持参したタッパーの重さを測り、その重さをシールに記してふたに貼ります。

ディスペンサーの下に容器を置いて、レバーを押すと、カラカラカラーンという小気味いい音とともに、コンキリエがタッパーの中に転げ出てきました。

溢れさせないか少しドキドキしながら、慎重に入れていきます。

ブジアーテも、持参したタッパーに入るだけの量を買うことにしました。重さを図った容器に大きなスプーンですくって入れてきます。

さて、次に買おうと思ったのは、ドライパイナップル、ドライマンゴー、ヘーゼルナッツ、そして1枚のクッキー。どれも少量ずつでいいので、どの容器を買って入れようかと瓶を眺めていたら、コットン袋の利用を勧めてくれました。

1種類入れるごとにレジで重さを登録してもらえば、同じ袋に何種類でも入れることができます。一般的な小売店ではこれだけで4種類の包装が必要になりますが、再利用できるコットン袋を使ったら、袋1枚で済みました。

「液体や粉、べたついているもの以外はなんでも入れてもらって大丈夫ですよ」と店長。普段、個包装に慣れているだけに、なんでも一緒に入れて平気、というのは、言われて見れば当たり前なのですが、個包装という瞬間に囚われているなあ、と気づいた瞬間でした。

楽しみながら、ごみを出さない暮らし方になじんでいく

初めての私が、買うのに手間取っている間に、素敵な容器に慣れたように商品を入れている女性がいました。「いつもいらっしゃっているんですか?」と声をかけてみると、今回がまだ2回目の方でした。

「前回、友人から聞いて初めて利用しました。元々プラスチックが好きじゃなかったので、利用してみたら、ごみも出ないし素晴らしい仕組みだなと思って、家から車で30分ぐらいかかりますが、わざわざ買いにきました。日常でも、できるだけごみを出さないようにと意識が高まってきましたよ」

お店を利用することで、普段いかに包装がごみになっているかに気づき、日々の暮らしを少しずつ、でも確実に変えていくきっかけになっているようです。

「ふらっと立ち寄られた方も、コンセプトや想いを話すと共感してくださる方が多くいます。 

代々木から移転してここにお店を構えたのは今年の1月。まだ1年経っていませんが、常連さんが増えてきています。近所の方の中には、自宅の食品庫代わり、台所がわりにしてちょこちょこ買いに来てくれる方もいますよ。遠い方はまとめ買いされていくことが多いですね」

同社が目指すのは、量り売りをビジネスモデルとするお店が増え、ごみが出ない暮らし方を無理なく日常の生活になじませていくこと。そのため、ふらりと立ち寄ってくれた方たちとのコミュニケーションを大切にし、会話を通して丁寧に伝えてます。そして、同じ想いの方がお店を出すお手伝いができるように、ゼロ・ウエイスト・ショップの開業講座もオンラインで開いています。

今はまだ、量り売りは古くて新しいもの、ちょっとオシャレ、という捉えられ方もしていますが、「意外とおしゃれじゃないし普通だよ、と伝えたい」と店長。個包装という手間がかかっていない分、「小分け売り」「バラ売り」のものより安く買えるものもあるそうです。

もちろん、量り売りは、買いたいものを好きな分量だけ買えるのも大きな魅力。まずは、好きなものを好きなだけ買いに行ってみてはどうでしょうか。子どものころ、一袋に詰め放題のお菓子をワクワクしながら詰めていた時のように楽しみながら量り売りを楽しんでいるうちに、自然とごみを出さない暮らしへの意識が高まっていくことと思います。

nue by Totoya
https://www.nuebytotoya.com

平地 紘子
ライター。大学卒業後、記者として全国紙に入社。初任地の熊本、福岡で九州・沖縄を駆け巡り、そこに住む人たちから話を聞き、文章にする仕事に魅了される。出産、海外生活を経て、フリーライター、そしてヨガティーチャーに転身。インタビューや体、心にまつわる取材が好き。新潟市出身

編集後記

お店に入ってまず、いつものように名刺を手に店長に挨拶をしました。そして店内を見渡していると、お店の奥から戻ってきた店長が「名刺、お返しします」と、先ほど渡したばかりの名刺を返してきました。キョトンとしていると「紙も資源なので、名刺をいただいたら、写真を撮ってお返しするんです」と店長。ごみを出さないこと、資源を大切にすることを、ここまで徹底しているのかと驚きました。そして、日常の中で意識せずにやっていること一つ一つに気づきを持つことで、変えられることがたくさんあるんだろうなと気付かされました。

今回のお店訪問は私にとって、まだまだ“非日常”のワクワク感で占められていましたが、これも日常になじませていくための第一歩。帰宅してタッパーのパスタやコットン袋のドライフルーツを瓶に入れ替える作業も、入れた瓶を眺めている時間も楽しく、パスタを鍋に入れた後、空のプラスチック袋を捨てないことも、いつもとは違う内側の充足感を味あわせてくれました。量り売りをビジネスモデルとするお店を増やしていくことを目指している同店。「こんなお店が家の近くにあったらいいな」と思っているうちに、いつの間にか家の周りにもお店が出てきてるかもしれないですね。余談ですが、購入したドライフルーツもパスタも、素晴らしくおいしかったです!

皆さんはゼロ・ウェイストショップについて、どう感じましたか?

界外亜由美さん

2020年7月1日からレジ袋有料化がスタートして以来、マイバッグを持ち歩くようになりました。それまでもマイバッグを使うことはあったのですが、出かけるときにカバンに入れ忘れることが多かったのです(有料化したとたん、いつもカバンに入れるようになったというのも、少し恥ずかしい話ではありますが……多くの人がそうだったりするのではないでしょうか)。ゼロ・ウェイストの取り組みも、これを当たり前にするための施策がもっと広がれば、みんな量り売りで購入するのが普通の世の中になる気がしています。名刺のエピソードも、新しい当たり前が広がる未来を感じました。

yaunnについて

「使う」「食べる」など、日常生活を通して考える力を養い、自ら思考し、判断する人を増やしたい。

yaunnは、身近な生活を通してものごとに興味をもち、自分の視点を養うこと。 それが、さまざまな問題を解決する一歩目になると考えています。

すべての人が自ら思考し、判断する力をもつ。
それによって、世の中はより良い方向へ変わると信じています。

yaunnについて、詳しくはこちらをご覧ください。
https://yaunn.jp/about/

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2021.11.02トピック シェア

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