毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。
コラム『サステナビリティ(持続可能性)を実現するためのアメリカの食の取り組み』で、牛肉消費を抑制する2つの取り組みを紹介しました。
牛は消化の過程で温室効果の強いメタンガスを大量に排出します。家畜関係の排出量のうち、約65%は牛から排出されるため、牛肉の食事を減らしサステナブル(持続可能)な社会を実現しようという動きが広がりつつあります。
牛肉をはじめ、肉の消費を減らす取り組みがある一方、食べることで守られる家畜がいることをご存知でしょうか?
今回は、食べることで種が守られる豚 今帰仁(なきじん)アグーを紹介します。
今帰仁アグーを生産している、農業生産法人有限会社 今帰仁アグー代表 高田さんは、コロナウイルスのパンデミックの影響でホテルやレストランへの出荷が停止し、危機的な経営状況にあるそうです。
そのため、2020年5月から、クラウドファンディングを開始しています。
今帰仁アグーとは、どんな豚なのでしょうか。
今帰仁アグーは、沖縄のブランド豚であるアグー豚とは別の遺伝子グループに属する、日本で唯一の在来豚なのです。高田さんは、遺伝資源や種の保存を目的に、これまで生産を続けてきたそうです。
生産し食べることで種を維持し、後世に在来豚の命をつないでいるのです。
これまでも経済的に成り立たせるための課題をひとつずつクリアしながら活動してきたそうです。
また、今帰仁アグーはアグー豚とは別の遺伝子グループであるため、生態的特徴も異なります。そのため、独自の飼育方法を模索してきたそうです。その飼育方法を、少しだけ紹介します。
飼育方法:
このような独自の飼育方法を編み出し、
舌になじむ(人肌で溶ける)脂肪融点で、筋繊維が細かく針が強い、歯ごたえ・歯切れがよい豚肉を作り出しているそうです。
2014年には食べる世界遺産としてSlow Food International “The Ark of Taste(味の箱舟) にも登録されたそうです。
飼育方法や経営など、多方面にわたる努力によって、今帰仁アグーの種を守り後世に残してきた高田さん。
今後も飼育・出荷し、食べてもらうことを必要としています。
アメリカでの牛肉に関する取り組みのように、大量に生産・消費するために品種改良された上で大量消費を抑制する動きもあれば、種そのものを残すために大事に食べ続けなければならない食べ物があります。一口に食料問題といっても、様々な事象が存在するのです。
私たちは何を選択し、生活していけばよいのでしょうか。
日々の一つ一つの選択が大事であることは間違いないようです。
yaunnプロデューサー Tomomi Jinno
我が家の食卓には、肉が並ぶ日が少なくありません。食べ盛りの子どもがいるため、肉料理を求められるのです。 環境保全の視点で考えると、代替肉といった選択肢もあるとは思うものの、成長期の子どもが必要とするタンパク源を十分に確保できるのかという心配もあります。消費を抑制する動きもあれば食べ続けることが求められるものもあるように、栄養といった視点でもまた、いろんな考え方があるのだと思います。 たったひとつの正解があるわけではないからこそ、日々情報を得て自ら選択して生きていくしかないのだと、改めて感じました。
私たちが食べているものの多くは、食べるために品種改良されているものが多いと思います。 今帰仁アグーのように、本来のまま食べられるのは貴重な体験なのかもしれませんね。 食材をレストランやホテルに卸している業者は、新型コロナウィルスパンデミックの影響をかなり受けていると思います。食べることで貢献できるのであれば、大事にいただきたいですね。
「使う」「食べる」など、日常生活を通して考える力を養い、自ら思考し、判断する人を増やしたい。
yaunnは、身近な生活を通してものごとに興味をもち、自分の視点を養うこと。 それが、さまざまな問題を解決する一歩目になると考えています。
すべての人が自ら思考し、判断する力をもつ。
それによって、世の中はより良い方向へ変わると信じています。
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