毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。
「シーズンごとに大量の商品を投入し、売れ残りはセールで処分するというアパレルの商習慣は限界を迎えている。」
2021年2月10日の日経新聞に、『アパレル、仕入れ最大4割削減 TSIは定価販売8割目指す -脱・安売り悪循環 コロナ下で商習慣見直し』こんな記事が掲載されていました。
日経新聞へリンク
現在、日本のアパレル大手各社は、収益改善のため、仕入れを減らし過剰在庫の発生を抑え、定価販売を増やそうとしています。
私たち消費者は、セールでの値下げをお得だと思う一方で、「そもそも定価は適正価格だったのだろうか」、「原価はいくらなのだろうか」、という疑問もあったのではないでしょうか。
これまで、アパレル業界では1)売上を伸ばすために大量生産し、2)大量に売れ残った商品を値引き販売するという方法で、セールを行なってきました。ですが、近年は3)消費者は定価で商品を買わなくなる、という負のサイクルを抱えていました。
コロナ禍で、いよいよこの負のサイクルを見直す動きが加速したようです。
売上を伸ばすための「大量生産」は、「大量消費」を生み出しました。たくさん持つことが豊かさの象徴だった時代は、少しずつ変化しています。そして、消費者不在の大量生産は、アパレル業界を苦しめる一因になってしまいました。
着てワクワクする。個性を表現する。着心地がいい。
そんな私たちのニーズを満たしてくれる服を、適正な価格で購入する。それが当たり前になる日も近いのかもしれません。
私たちも消費者の視点から、日本のアパレル業界の変革を見守っていきたいですね。
yaunnプロデューサー Tomomi Jinno
「適正価格」とはなんなのか、それを決める難しさを感じました。私たちはモノを購入したりサービスをうける時、ほとんどの場合、値付けされた額にしたがって支払いをします。日常生活において、自分で価格を決めるという経験は、めったにありません。 改めて服の価格を考える時、服はたくさんの部品があり、それぞれの製造を担う工場があり、流通や販売のプロセスがあることに気がつきます。どの素材や工程にいくらの対価が「適正」なのか、それが消費者の価値観とマッチするのか。当たり前ですが、簡単に答えは出てきません。 ですが、ひとつ言えることは、誰も必要としない商品が大量に作られることは、環境のためにも、業界のためにも変えた方がいい。そう思っています。
「大量生産」=「作り過ぎ」がセール販売(たたき売り)を生み、収益圧迫を抑えるために製造業が叩かれる、そんな構図も目に浮かびます。
私たち消費者も「安ければいい」と言うだけではなく、「この価格は適正なのだろうか」と常に考えを巡らせる必要があるのだと思います。とはいえ、やっぱり安く買えた方がうれしいから、消費者心理を変えていくには時間がかかりそうですね。
セールが無くなるかもしれない。
そんなアパレル業界の変革を消費者目線で見守りましょう。
“周りの目を気にしない、自己表現の手助けになる服”
デザイナーの岡村さんは、性別にとらわれたりコンプレックスを隠すのではなく、自分らしくあるために服を着てほしいと考えています。
毎日使うモノのことを知る、選ぶ力を磨く。