Pottery – #3 Talks

『ものづくり対談』

陶芸作家 岡崎慧佑さんとファッションデザイナー岡村成美さんによる「ものを作り発信するということ」

対談

語り手 : 岡崎慧佑さん / 岡村成美さん
聞き手 : yaunn 陳野友美

yaunnに参加いただけることを嬉しく思います

―陳野
yaunnのコンセプトは「日常で使うものの製造工程を“知る”ことで、愛着をもって使ってもらうこと」。
私自身、日常生活で「普段使うものがどうやって作られているか、誰が関わっているのか、どんな想いで作られたか」をもっと知ることができたら、と思うことがありました。
知ることで、より愛着を持って使おうという気持ちが生まれるのではないか、そんな想いでyaunnを始めました。

第1弾のシャツを作るにあたり、デザイナーの岡村さんや縫製工場を取材させていただき、工程を伝えるストーリーを発信しました。

先日、yaunnのシャツをご購入くださった方とお話しする機会があったのですが、「製造工程を知るというコンセプトに共感した。そしてシャツがおしゃれだったので購入した。」という言葉をいただきました。

少しずつですが、このように共感してくれる人が増えるのは嬉しいですね。

第2弾は「器」ということで、陶芸作家の岡崎さんに、yaunnのブランドイメージである空と雲をモチーフにしたカップとソーサーをデザインしていただきました。
このインタビューを通して、製造工程や岡崎さん自身についてお聞きし、岡崎さんが作る器とともに届けたいと思います。

毎日の生活の中で、朝目覚めて一杯のコーヒーを飲むとき、手元のカップがどういう工程で作られたか、知っていると違いますよね。
このインタビューが、日常生活を少し豊かにするきっかになればうれしいです。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

必要な機能にデザインを加えること、それは足すことでは無く選択すること

―岡崎さん
最近、yaunnのシャツを着て展示会に立たせてもらっていますが、「変わったシャツですね」と声をかけられました。
店内でシャツを着ていると暑いことが多いのですが、yaunnのシャツは素材が柔らかくて着心地がよかったです。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

服と器を、ものという観点で比較すると、服が好きという人はたくさんいて、お金をかける人も多いと思いますが、器は、服と同じぐらい身近にあるのに、気にかける人はまだまだ少ないなと思っています。
yaunnに参加することで、そういったギャップが埋められるきっかけになればいいなと思います。

製品という観点で第1弾のシャツと今回の器で違うところは、器は1から10まで自分で施しているため大量に作れないことと、個体差が出るところですね。
私はそれを自分なりの個性としてどこまで出せるか、と考えながら作りました。

―岡村さん
私は最近、衣食住について考えることがあります。
服も器も衣食住の中に含まれるものですが、どれも私たちが生きていくうえで欠かせないもので、そのような必要不可欠なものを少しでも豊かにしていくこと、それが「デザインすること」なのではないかと思っています。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―岡崎さん
服も器も生きるための道具なので、必要最低限の機能が無ければ本末転倒になってしまいます。
道具の先にどうしてアート必要になったかというと、人が文化を必要としたからで、今を豊かに暮らすには、アートは必要なものだと考えています。

今世の中にある器は、既に機能としては完成形に近いと思います。
そのため、形をいじることはせず、邪魔にならない程度に自分の個性を加えるようにしています。
完成形に近いということは、足すことはほぼできない。
自分を足し過ぎてしまうと、器の機能として不便なものになってしまうんですよね。
だから自分にできることは「一つ足したら、一つ減らす」という選択なんだと思います。

陶器というのは、木でも葉っぱでも代わりになって、服のように寒さをしのぐためのものとして無ければ死んでしまうものではない。
必需品としては、器は最後の方なんじゃないかなと(笑)。

―陳野
必要なものだと思って使っていました(笑)。

―岡崎さん
それが文化なんでしょうね。
人間だから器を使っているだけで、無くても食べることができていた。

―岡村さん
私も「引く」と言うのはよく分かります。
足し始めるとどんどん足し過ぎてしまって、際限なくなって、どこかで引かなければならなくなる。

誰か一人がいいと思ってくれること、その人が現れるまで出し続けること

―岡村さん
デザインをしていると、「自分じゃなくてもいいのではないか」と思う時があります。

―岡崎さん
ありますね。モノを作る人は、みんなそう思うことがあるのではないでしょうか。

―岡村さん
自分だけが服を作っている訳ではないし、自分だけが0からデザインしている訳ではない。
「自分がこれをやらなくてもいいんじゃないか」と急に不安になったり、怖くなったりすることがあります。

―岡崎さん
僕も「自分じゃなくても」と思う時はあります。
アートピースを作っている時は、線一本で悩むことがありました。
ただ千人に一人でも「あなたのラインいいね」と言ってくれたら、それでいいんじゃないかと思います。
新しいことを考えるときは、まずは誰か一人がいいと思ってくれればいいと。

―岡村さん
それは分かりますね。
千人中千人がいいと言うと、逆に不安になりますね(笑)。一人ぐらいで丁度よいと。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―岡崎さん
そうですね、全員がいいと言ったら、それは個性ではなくなる。
白い磁気できれいな形で器を作ったら、1000人中800人が使いやすいと言ってくれるかもしれないけど、ものを作るという意味では、自分はそこを目指さなくていいと思っています。
自分がいいと思ったものを周りが認めてくれるまで待つのではなく、いいと言ってくれる人が現れるまで出し続ける。いいものを出し続けないと最初の一人は現れないので、やっては失敗し、落ち込みながらもやり続けることが大事だと思っています。

とはいえ、作っているときはしんどいですけどね(笑)。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―岡村さん
9割くらいしんどくて面倒な作業ですよね(笑)。
最後の1割ですね、いい時は。届いた時に「いいね」って言ってもらえる時ですね。

―岡崎さん
そうですね。だからやり続けることが一番大事だと思います。
どんな仕事でも、継続して、仕事を覚えて、自分なりのやりがいを見つけて行くもので、そういう意味では自分は特別なことはしていないのですが、自分発信で続けなければならないことと、自分の名前で製品が出ることが違うところかもしれません。
責任があるし、評価してくれる人に対して裏切れないという気持ちがあります。

発信し続けること

―岡村さん
自分は、デザインの仕事を続けなかったら自分が死んでも誰も気づかないんじゃないかと思うことがあります。
突然死んでも気づかれない存在になったらだめだなと思いますね。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―陳野
発信し続けないといけない、ということですね。

―岡崎さん
そうですね、だから発信するのが苦手な自分には大変なことです。
作ること自体にはストイックになれても、発信するのが苦手という人は結構いると思います。
誰かにお願いしたい、協力してもらいたいと思いますね(笑)。

―陳野
生み出す人や、生み出されたものをどう伝えていくか、それがyaunnなのでぜひ発信させてください。
また、コンテンツを発信するだけではなく、工程に一般の人も参加できるような仕組みやシステムが作れないかと、そんなことも考えています。

―岡崎さん
伝わった結果、観賞用としてではなく、日常で使ってほしいですね。
生活の端にあって、自然と出し入れされる存在になるといいなと思っています。

―陳野
生活の中で日常に寄り添う存在になるといいですね。
岡崎さん、岡村さん、ありがとうございました。

岡崎さんの作品については、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
Pottery – #2 Process

プロフィール

岡崎慧佑
近畿大学文芸学部芸術学科陶芸コース卒業後、2009年に東京藝術大学大学院美術研究科陶芸専攻修了。神奈川県鎌倉市にて制作活動中。1984年大阪府生まれ。
http://okazakikeisuke.com/

岡村成美 LOUD AIR(ラウドエアー) デザイナー
杉野服飾大学モードクリエーションコース卒業。AdamHavve by schopfung(アダムハヴァ バイ シェプフング)のデザイナーやアーティストの衣装制作を経験し、2018年LOUD AIR(ラウドエアー)設立。2019年春夏コレクションでデビューし、衣服の固定概念の枠を外れた新しい前衛的なデザインを展開する。yaunnのシャツデザインを手掛ける。
1992年神奈川県生まれ。
https://www.loud-air.com/

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