Pottery – #2 Process

『製造工程』

陶芸作家 岡崎慧佑さんの手により生まれたyaunnの器

日常で使う製品を、愛着を持って丁寧に使いたい。
シャツに続き、第二弾として『yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー』を陶芸作家 岡崎慧佑さんに製作いただきました。
器とともに、岡崎慧佑さんのストーリーをお届けします。
普段の生活にちょっといいものを。リラックスした日常を。

まだ寒い時期でしたが、その日は久しぶりに日が照っていて、ぬくもりがある日差しの中で取材をさせていただきました。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

インタビュー

語り手 : 岡崎慧佑さん
聞き手 : yaunn 陳野友美

―陳野
yaunnの器を製作いただき、ありがとうございます。
カップとソーサーの製作工程を教えてください。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―岡崎さん
陶芸は、完成品になるまでの工程や製作技法がたくさんありますが、私は、電動ろくろで作る「ろくろ挽き」という技法を使っています。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

工程としては、カップもソーサーもまずろくろで形を作り、カップに取っ手を付けて、装飾をして完成させます。

材料は、半磁器用の土を使っています。
磁器は石、陶器は土。半磁器はその名の通り半分石で半分土なのですが、高温で石を焼き締めるか土を焼き締めるかでは、そもそも成分が異なるため発色や吸水性だけでなく工程の中で出てくる表情が異なります。

私は、細工のしやすさと吸水性を考慮して半磁器を使っていますが、初めから半磁器を使っていたわけではなく、使っているうちに自分に合ってきた感じですね。

好きな色、好きな組み合わせで主張したのが始まりです

―陳野
岡崎さんの作品の特徴であるこの模様はどのようにして生まれたのですか?

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

昔、外に置いてあってボロボロになった金属片や朽ちたものが格好いいと思っていた時期があったのですが、大学時代の先生がこういった作風を高いレベルで製作していて、それを自分なりに真似しようと思ったのがきっかけです。

私の作品は、黒がベースでその上に赤や青の顔料を重ねることが多いのですが、製作することが自分の個性を出す唯一の場所だったということもあり、好きな色、好きな組み合わせで主張してみたんですね。
それが黒に合う赤だったんです。赤にも種類がありますが、好きな赤を選んだのがスタートです。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

凹凸から生み出させる空と雲

―陳野
この雲のような模様はどのようにして作られるのですか?

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―岡崎さん
yaunnのブランドイメージの「空と雲」をモチーフとして、オリジナルで青と白をベースにデザインしています。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

青い顔料を全面に塗り、白を重ね、削る。
石の表面とか自然に風化した状態をイメージして、スポンジでポンポンと叩くように凹凸を付けながら塗っていきます。凹凸を付けることにより、削ったときにこのような模様が出てきます。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

焼く工程と合わせると、
①形を作った後に焼き、②焼いた上に青を乗せもう一度焼き、③白を塗って削って模様を出した後にもう一度焼き、④内側に釉薬を塗り最後にもう一度焼く。
全部で4回焼いていますね。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―陳野
大変手間がかかっていますね。

―岡崎さん
そうですね、でも私の手間は気にせず使ってほしいですね。
日々使える存在として、手に取ってくれた人の生活になじむものだといいなと思います。

誰が作ったのか、それを覚えてくれれば嬉しいですが、私が作った器自体が使う人の生活に溶け込んでいってくれることが一番の願いです。
ブランド物としてではなく、誰でも使える存在であってほしいですね。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―陳野
私もこの器を普段の生活の中で使いたいと思います。

作家ものというブランド

「日常とブランド」の話がでましたが、「必要な機能」と「これが好きという愛着」、私はそれらとは別に「当たり前に“知る”」という軸があると思っています。
大量生産は、作った誰かを“知る”こと無く大量消費するという時代を作りました。
アンチテーゼと言うと大げさかもしれませんが、“知る”ことは健全なことだと思っていますし、身の回りで普段使う製品のことをもう少し知ることができればいいなと思っています。

―岡崎さん
インターネットでものを購入する時代になると、手に取らずに買うことが当たり前になってきますね。
そうなると、この人の作品ならいいだろうという、愛着だけではないブランドの意味がでてきますよね。

私の作品は、性質上個体差が出てしまうこともあり、今まではインターネットで販売していませんでした。
yaunnに参加することは、
自分のことや自分が取り組んでいること、こんな感じで作っているんだということをインターネットを通して知ってもらえること。
今まではあまり見せたくないと思っていましたが、そんな思いと情報発信という新しい世界の間にいる感じですね。
機械とは違う良さがあるし、いびつさもあるし。
大変さも含めて少しでも知ってもらえれば、と思います。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―陳野
いわゆる「マーケティング的なブランド」にならないよう伝えなければならないと思っています。
マーケティングで作られたブランドイメージだけが先行するのではなく、きちんと伝えるべきことを伝え、知ってもらうことが大事だなと。
発信が上手な人もいますが、名前やイメージだけが独り歩きしないように伝える必要がありますね。

―岡崎さん
「作家もの」というブランディングについては、この柄を見てあの人の作品だと分かること自体は大事なことだと思います。ただ、あのブランドの人ですね、と見られることは窮屈なことかもしれません。

私が作っているものはたくさんある器の中の一つで、その一つとして工程を紹介し、それにより見る人が想像を膨らませて陶芸やものづくりに興味を持ってくれたり、やってみようかなと思ってくれたらいいなと思います。
そういう想いでyaunnに参加しています。
外側に釉薬がかかっていない器はめずらしいので皆さんの反応も未知数ですが、そこも個性として発信できるといいですね。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

―陳野
手触りもよく、飲み口も全く違和感が無いですね。
空のような色がとても気に入っています。

岡崎さん、ありがとうございました。

岡崎慧佑×yaunn 空と雲のカップ&ソーサー

編集後記

―陳野
ところで、岡崎さんはなぜ陶芸家になったのですか?

―岡崎さん
もともとバックボーンがあったわけではなく、大学の願書で陶芸を選んだのがきっかけです。
知識もなく入った世界ですが、大学の2、3年が過ぎたころですかね、続けていると面白いところやしんどいところが分かってきました。
先生や周りに相談して、続けるなら上を目指して大学院を受けてみるかということになり、受かったら半分後に引けなくなりました。

そこに引っ張られる何かがあったんですね、私にとっては。

―陳野
今、陶芸家として活躍されていますね。

―岡崎さん
やっていてしんどい時もありましたが、声をかけてくれたり、仕事をくれる方たちがいました。
それに応えようと続けていくうちに、道が開けてきました。
最初からストレートな道は無く、悩みながら苦しみながら続けた結果だと思います。
人とのかかわりは大事ですし、これからも続けていくことで恩返ししたいと思っています。

陶芸作家 岡崎慧佑 yaunnの器 空と雲のカップ&ソーサー

今回のyaunnとの取り組みをインターネットで発信することができ、器に限らずものづくりする人の何かのきっかけになれば嬉しいです。

プロフィール

岡崎慧佑
近畿大学文芸学部芸術学科陶芸コース卒業後、2009年に東京藝術大学大学院美術研究科陶芸専攻修了。神奈川県鎌倉市にて制作活動中。1984年大阪府生まれ。
http://okazakikeisuke.com/

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